「魔法少女特殊戦あすか」2019冬アニメを一通りチェックしたのだが、ビジュアルがエロゲーっぽいのと、どうせよくある魔法少女ものだろうとスルーしていた。
しかしある脚本好きが、「2019冬アニメの中で、魔法少女特殊戦あすかの脚本がズバ抜けている!」と言っていたのを見て、物は試しとヒマつぶしに見てみたら、第1話であまりの出来の良さにしびれてしまった。
この「魔法少女特殊戦あすか」。ムダなシーンが一切ない。テンポよくストーリーが進み、キャラも立っている。1話を見終わる頃には、ファンになっていた。
脚本が良いと言っても、一般人には分からないかもしれない。ビジュアルも最初言った通りエロゲーっぽい。けれど、ケムリクサ、FGOで脚本(ストーリー)の重要さが再評価される今、良い脚本が見たいなら、いいアニメが見たいなら「魔法少女特殊戦あすか」を見るべきだ。だまって第1話を見て欲しい。Amazonプライムで無料配信されている。この名作を、埋もれさせるのはもったいない。
神脚本アニメ「魔法少女特殊戦あすか」は、脚本好きを名乗るなら必見! 感想、レビュー
魔法少女特殊戦あすか のアバンタイトル(OP前のシーン)は、主人公あすかがぬいぐるみ型のモンスターと戦うシーンから始まる。
ぬいぐるみ?と思うかもしれないが、人をさらってころして郵送してくるような凶悪な連中だ。
魔法少女系アニメと言えば、プリキュアのような子供向け「戦隊モノ」と、まどマギ系の「シリアス系」に分かれるが、魔法少女特殊戦あすかは、まどマギ系だ。あすかは、第1話で魔法少女をやめてしまう。
第1話プロット(ログライン)
【三幕構成】
【序盤】大鳥居あすかは魔法少女になり、仲間と共に人類のために戦っていた。しかし両親を殺されたショックで、引退し普通の高校生活を送っていた。
【中盤】高校で新たな友達ができ変わろうとしていたあすかの前にかつての仲間が現れて、また一緒に戦おうとさそうが、それを断る。
【終盤】しかし友人を助けるために、あすかはまた変身するのだった。
ムダなシーンがない(脚本がすごい)
魔法少女特殊戦あすか の第1話を見ると、開始5分で、2回時系列を動かしている。これは通常なら悪手で、視聴者を混乱させるだけだ。例えば、同じ時期に放送された「ブギーポップは笑わない」も、第1話からやたら時系列を動かし、視聴者を混乱させた。
しかし魔法少女特殊戦あすか は、時系列を動かしてはいるのだが、キャラクターをしぼり、余計なセリフを省く事で、テンポ良く見せる事に成功している。ブギーポップは笑わない との違いは、単純に脚本と監督の腕の差だ。
その後本編Aパート(OP~CMまでのシーン)に入っても、テンポの良さは続き、余計なシーンは一切なしで、最後のEDまで完走した。
フック(つかみ)が良い
アニメで一番重要な回は、第1話だ。1話が面白くないなら、その時点で視聴者から切られる(1話切り)。では、1話30分間、いかに視聴者がチャンネルを変えずに最後まで見せきるか、2話に引っぱるかで重要になるのが「フック」だ。
魔法少女特殊戦あすか は、アバン(OP前のシーン)でまず変身したあすかを見せてこれから戦うといったところで、Aパートに入る。場面が火山に移動して、魔法少女が勢揃いし最終決戦といったところで、学園パートに移動する。
このやり方はぶっちゃけ邪道ではあるのだが(本来終盤の構成を前に持ってきている)、最初から学園パートを見せてしまうと、おそらく視聴者はAパート15分の間に離脱してしまうかもしれない。なら最初に、あすかの変身シーン、ラスボスを見せて、インパクトを与えよう(フック)というのが目的だ。
とまあこんなにわかの脚本テクニックの話を聞いてもつまらないだろう。そんな小難しい話抜きに、魔法少女特殊戦あすか は、肩の力を抜いて楽しめる。
まどマギ好きや、ケムリクサなどの脚本が良いアニメを見たい人には、ぜひおすすめする。このアニメ知名度は低いけど、俺も最近まで知らなかったけど、埋もれさせるにはもったいない!
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