どろろ はホラーよりの冒険活劇である。作風としては、ベルセルクに近い。
目、耳、両手足など体の48の部分がないまま、いも虫のような状態で生まれた"百鬼丸"は、自分の体を取り戻すために48匹の魔物をたおす旅にでる。
旅は過酷で、おどろおどろしい化物が多数登場する。百鬼丸は村人を助けるために奔走するが、どこに行っても厄介者扱いされ、唯一の理解者である少年"どろろ"とあてもなく放浪する。
あらすじだけでもくらーい感じだが、実際原作のマンガ版も、1969年に放送された旧アニメ版も、どちらも暗い内容だった。
どろろ アニメ版を見た感想
どろろ は暗い
アニメ(2019年)
アニメ(1969年)
マンガ(1967年)
どろろは上のような化物が多数登場する。この化け物たちをたおす事が、百鬼丸の目的となっている。
この化け物たち、手塚作品とは思えないほどインパクトが強く、子供が見たら泣き出しそうである。ベルセルクに登場する魔物だと言われても違和感はない。
誰にも理解されない百鬼丸とどろろ、それをつけ狙う魔物たち。ストーリーはハッキリ言って暗い。明るい要素はない。美少女ヒロインもいない。
別にネガキャンするつもりはない。むしろこの難しい作品を、2019年の現代にどうやってアニメ化するのか、とても楽しみだ。
化物、魔物、妖怪?
どろろに登場する化物は、原作では、妖怪、魔物、死神、化物と呼び方がコロコロ変わっている。上の画像だけでも、1ページ中で妖怪→魔物→妖怪→ばけものとなっている。
ストーリーの中心は、サスペンス(ホラー)
どろろ のストーリーの根本部分は、魔物を見つける事であり、魔物は人間に化けている。そのヒミツを暴き出す事にカタルシスがある。
上の画像のような華麗な殺陣(たて、戦闘シーン)が売りの作品ではない。どちらかと言うと、サスペンス、むしろホラー作品に近い。手塚治虫の原作では、それを分かってムリにコミカルな演出をしていたが、それも焼け石に水だった。
化物登場シーンで歌舞伎調の演出をする原作↑
グロ、ポリコレ規制
1960年台と、50年後の現代では時代が違う。
現代では、上のような目がない主人公などを使うと、うるさい連中が「障害者差別だ」「キャベツだ」と叫びだす。
ポリコレについても同じで、作中に登場する孤児たちは風呂に入ってないので黒いが、このまま放送するとポリコレ信者たちが「黒人差別だ」と言い出すのは分かりきっている。
つまり「どろろ」は、原作当時と同じでは放送不可能なのだ。実際、1969年に放送されたアニメ版は、再放送されていない。
2019年のアニメ版「どろろ」で、このグロ、ポリコレ規制問題をどうやって切り抜けるのか、ファンをどうやって納得させるのか、監督の腕の見せ所となる。
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