MCロンドン、最終戦終了後にヘッドジャッジから失格処分を受けました。
使っていたデッキの特定のカードに印が付いており、判別できる状態でゲームをしているという裁定でした。
そのような状態になっているのは自分では気付いておらず、ジャッジに呼ばれてカードの状態を見て初めて気付きました。— 渡辺雄也/Yuuya Watanabe (@nabe1218) April 27, 2019
2019年4/30に行われたカードゲームMTG(マジックザギャザリング)の大会「ミシックチャンピオンシップ2019ロンドンで、日本人トッププレイヤーの渡辺雄也氏が、イカサマ行為をして失格になったと話題になっている。
しかしこの失格判定について、渡辺雄也氏や所属するサイゲームズは抗議しており、MTGの運営会社ウィザーズオブコーストはくわしい状況を説明しないまま、渡辺雄也氏に「30ヶ月の大会出場禁止、殿堂入りの剥奪、プロリーグ除名」を宣告した(引退勧告に近い)。
渡辺氏を失格にした審判(ジャッジ)は、CFB(チャンネルファイアボール)所属のボランティアで、渡辺氏が失格になってCFB所属の選手がくり上げでトップ8に出場を決めて、大会を主催しているスポンサーはCFBだった。
これらの経緯から、でっち上げの冤罪ではないかと批判が起きている。
MTGトッププロ渡辺雄也氏 イカサマで失格になり30ヶ月活動禁止、殿堂入り剥奪、プロ除名処分を受けるwww
渡辺雄也氏が所属するサイゲームスの説明
「Mythic Championship London」において #teamcygames 所属の渡辺雄也選手が下された失格処分について、渡辺選手の声明と、当日の状況についてまとめた記事を掲載しました。
公式声明 ⇒ https://t.co/MvLRpmLZRA
まとめ記事 ⇒ https://t.co/WWnah8szDH
詳細について、上記URLよりご確認下さい。— Team Cygames (@Team_Cygames) May 5, 2019
大会1日目の12試合目に、渡辺雄也氏がカードのスリーブを交換した。スリーブは大会の受付に渡されたもの。
14試合目に、ジャッジ(ボランティアの審判)が渡辺雄也氏のカードのスリーブをチェックした。結果、「問題ない」と判断された。
15試合目に、またジャッジが渡辺氏のカードのスリーブをチェックした。結果、「問題ない」と判断された。
16試合目に、対戦相手と合意の上で「引き分け」(ID)にした後、渡辺氏と友人が大会会場の通路で話していたところ、ジャッジが来てデッキを確認したいと言ってきた。渡辺氏はトップ8出場が決まっていたので、その紹介に使うのだろうと、デッキをその知らないジャッジに渡した。15分後、ジャッジに呼ばれ、失格にされた。
サイゲームス側の説明2(カードの状態の画像が大量にアップされている)
渡辺雄也氏の説明
MCロンドン、最終戦終了後にヘッドジャッジから失格処分を受けました。
使っていたデッキの特定のカードに印が付いており、判別できる状態でゲームをしているという裁定でした。
そのような状態になっているのは自分では気付いておらず、ジャッジに呼ばれてカードの状態を見て初めて気付きました。— 渡辺雄也/Yuuya Watanabe (@nabe1218) April 27, 2019
— 渡辺雄也/Yuuya Watanabe (@nabe1218) April 29, 2019
ジャッジに呼ばれて失格を告げられたが、身に覚えがないので、いくつか質問した。ヘッドジャッジ(審判のリーダー)は、「現実としてカードのハジが折れているのでイカサマだと判断した。失格処分を変える事はない。」と言われて、渡辺氏は確かにカードのハジが折れてるなと思い、失格処分を受け入れて、運営側の事情聴取を受けた後、会場を出た。
運営側ウィザーズオブコーストの説明
マジックプロリーグは、渡辺雄也氏が失格になった件について徹底的な調査を完了した。
この調査で、問題のスリーブが複数のジャッジと運営によって何度も調べられた。
その結果、渡辺雄也氏に30ヶ月間の公式大会出場禁止、MTGプロリーグ除名、MTG殿堂入り剥奪処分を決定した。
https://mtg-jp.com/reading/publicity/0032515/
https://mtg-jp.com/coverage/mclon19/article/0032448/
解説
渡辺雄也氏や所属するサイゲームスは、失格になった状況やカードの状態などを、画像や動画などの証拠つきで"具体的に"説明している。
それに対して、運営側は何の根拠も示さずに、一方的に「30ヶ月出場禁止、プロリーグ除名、殿堂入り剥奪」とものすごく重い処分を下している。渡辺氏はこの処分だと引退するしかない。
ちなみに過去にこういうイカサマ事件が起きた場合、MTGの運営ウィザーズオブコーストは大騒ぎして公式にくわしい記事を上げており、今回はなぜかほとんどそういった記事を上げていない。一方的に処分内容だけを発表した。
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/event-coverage/dave-williams-disqualified-2000-01-01-0
渡辺雄也氏とは
MTGで日本を代表するトッププレイヤー。大会優勝数は数知れず、2006年に参戦して2019年になった今も現役のトッププロ。2019年3/22に行われたグランプリ京都2019では準優勝している。
失格になったミシックチャンピオンシップ2019ロンドンでもベスト8まで進んでいた。
渡辺氏は今まで一度たりともイカサマ行為でペナルティを受けた事がなく、模範的なMTGプレイヤーだとして、2016年には世界中のMTGプロの90%が彼を支持して"殿堂入り"している。
事件発生時、渡辺氏と大会の通路で話していた人物の証言
結局のところ、求めているのはより詳しい説明なんだよね
昔から継続的にイカサマを行って来たとするなら、今回のなべさんの挙動はあまりにもお粗末
IDが確定した後いくらでもスリーブを変える余地があったのに(負け→IDだからTOP8に向けてスリーブを変えるという言い訳すら成り立っている)していない— Matsumoto Yuki (@torauoo) May 10, 2019
だからやっていないと主張したいんじゃなくて、なべさん以外にもスリーブにアクセスできる人間がいたという事を認識した上で、その人物らにも確認を取ったという説明が欲しかった
僕はそれを信じることしか出来ないけど、今回の発表はあまりにも一方的で情報が少ないと感じてしまった
— Matsumoto Yuki (@torauoo) May 10, 2019
【編集後記】
日本人の悪いところが出たかなと。デッキを知らない他人に預けたら、こういう事が起こりうるわけで、そういう意味で渡辺氏は甘かった。
カードゲームでそこまでやる?と思うかもしれないが、MTGの大会に優勝すると数十万~数百万円稼げるわけで、大金が動くのだから、そういう悪い人間も出てくる。
大会運営に渡辺氏が呼ばれた時に「失格処分を認めた」のもマズかった。日本人はこういう時、先の事を考えて"穏便に済ませよう"と考えて、反論しない。
実際目の前に商品を見せられて「万引きしただろ!」と言われたら、パニックになって認めてしまうかもしれないが…。
今後もこういう事が起こりうるので、MTGの大会では最大限に注意を払う必要がある。
これはMTGだけではなく、同じくボランティアによって運営されている他のeスポーツの格闘ゲームの大会などでも十分起こりうる事だ。
サイゲームスが今回とった行動は称賛されるべきだ。自分のチームの選手を守ろうとしている。サイゲームスとしてはMTGのプロチームを運営していく上で、MTGの運営側ともめたくないのが本音だろうが、ハッキリ「無実」だと反論している。こういう姿勢は選手やユーザーに安心感を与える。
今回の裁定についてWotCから説明を受けましたが、私たちが要求していた具体的な証拠がなく一方的に通達を受けました。
私たちは決して納得していません。
追加で調査及び発表をするかどうかを検討しています。 https://t.co/vG0nzUtjK7— Team Cygames (@Team_Cygames) May 10, 2019
(c)MTG