2021年3/10。『シン・エヴァンゲリオン』で、アスカが「私が先に大人になっちゃった♥」とシンジに言うシーンがある。
それでアスカがケンケンとヤッたのではないか、性的な意味で【大人になった】のではないかと話題になっているが、
これセリフ全体を見ると、そういう話ではなかった。
実際に映画館に見に行ったので紹介する。
【シンエヴァ】アスカ「シンジの事好きだった。でも私が先に大人になっちゃった」
経緯
-新劇場版Qから話の続き
-アスカ、シンジ、黒レイが第三村に着き、しばらく生活する。シンジはすねる。レイは「何これ」連発。アスカはイライラ。
-黒レイが目の前でしんでシンジ君ようやくヴィレに戻る事を決意
-ヴィレに戻った直後のお話
アスカ「私が先に大人になっちゃった。スッキリした」発言は?
『シンエヴァ』でヴィレに戻った直後のシーン。
ヴィレは、シンジは使えない、レイはいないので、アスカとマリしか戦力がいない状況。
ネルフ本部に強襲をかけるラスボス戦前で、ヴィレ(戦艦ヴンダー)クルーの【決戦前夜】が描かれる。
アスカとマリが、ヴィレで隔離されているシンジに会いに行く。
アスカ「コネメガネ、ちょっと寄り道しておきたい」
マリはこの時、シンジに始めて自己紹介した。2人が会ったのは3回目(1回目は劇場版『破』で、学校の屋上でマリが降下してきた時)。
アスカ「最後だから聞いておく。何であの時(Qで再会した時)、私があんたを殴ろうとしたか分かる?」
シンジ「アスカが3号機に取り込まれた時に、僕が何も決めなかったから、助ける事も殺すことも。自分で責任負いたくなかった」
アスカ「ちっとは成長したってわけね。最後だから言っておく。いつか食べたあんたの弁当おいしかった。あの頃はシンジの事、好きだったんだと思う。でも私が先に大人になっちゃった。じゃ」
マリ「姫、スッキリした?」
アスカ「スッキリした」
解説
ネルフvsヴィレの最終決戦前の発言で、このシーンでアスカが「(性的な意味で)大人になっちゃった♥」というのは話の流れ的におかしい。
この「大人になった」とは、ふだんアスカがシンジの事を「このガキ」と言っており、つまりシンジの事を【子供】扱いしている事が分かる。
そしてアスカは自分も精神的に【子供】だと自覚している。
しかしシンジがいなくなっていた14年の間、他の人達は14年の月日が過ぎており、アスカも【エヴァの呪縛】で見た目は14才のままだが、
中身はアスカは14+14=28才のおばちゃんになっていた。
そういう意味で「おばちゃん、大人になっちゃった」と言ったと思われる。
「スッキリした」と言うのは、アスカとマリはしぬつもりであり、勝ち目のない戦いに行く前で、例えるならスレッガー・ロウがミライ・ヤシマにしぬ前に「指輪を預かっといてくれ」と言った時と同じ状況。
それで(しぬかもしれない決戦前に心残りがあったけど)「スッキリした」という意味。
性的な意味では?
「大人になっちゃった♥」と言ってるので、そこだけ切り取ると性的な意味にも聞こえなくはないが、
状況的にそもそもアスカがシンジにそんな事言うか?と思う。
アスカはシンジにつらく当たっていたが、一番心配していたのもアスカだ。
Qのラストでシンジを助けたのもアスカ。立ち上がりもしないシンジを第三村に連れて行ったのもアスカ。メシを食わせたのもアスカ。
シンジが家出した後もアスカは毎日見に行っていた。つまり【未練タラタラ】な事が分かる。
ケンケンとアスカが【性行為】をしているシーンや、キスシーン、イチャつくシーンなどは一切なかった。
むしろケンケンは第三村に残っており、アスカはヴィレ(ネルフと闘う組織)でエヴァ2号機に乗って、悪いネルフと戦うパイロットだった。
ヴィレの戦艦ヴンダーにアスカとシンジが戻る日に、最後にケンケンがアスカをビデオカメラで撮影して「今日だけは撮らせてくれ」と言って、アスカは顔を赤らめていた。2人がイチャつくシーンはそこだけ。
アスカが家の中でほぼ裸でウロウロしていたのは、シンジやレイの前でもアスカはほぼ全裸でウロウロしており、
特別ケンケンの前だから裸だったというわけではない。
アスカがなぜケンケンの前で裸だったかについては、前回の記事でくわしく解説したので省略する。
映画パンフレットのシンジ声優のインタビューより
ー「私が先に大人になっちゃった」とアスカに言われた時に、シンジはどう思ってると考えて演じられましたか?
緒方恵美:
アスカの気持ちは分かります。自分は14年間生きてきたのに、
当時好きだった男の子が、見た目も中身も【中学生のまま】で、大人として全然成長してなかったら、昔と同じように、好きとは思えないですよね。
シンジは同じだと思って、アスカに話しかけてるのにね。
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