ガンダムは好きだが、ダンバインは見たことがなかった。
しかしアニメ版「ダンバイン」を見たところ、思いのほか出来がよくてびっくりした。
ダンバインを一言で言うなら、「ファンタジー版Zガンダム」。
事実、1984年にダンバインを製作した「サンライズ第2スタジオ」は、翌年1985年にZガンダムを製作している。監督も同じ、富野由悠季氏。
ストーリーは、今流行っている「異世界転生」もので、主人公ショウ・ザマがファンタジー世界に異世界転生し、聖戦士としてロボット(オーラバトラー)に乗り活躍し、まだ終わらない。ここからがすごい。
異世界にいたショウ・ザマや味方の軍隊、敵の軍隊が、今度は現実世界に出てくるのだ。このプロットは見たことがなかった。
ダンバインやトッド・ギネスたちが東京上空で戦い、日本はメチャクチャになる。戦いは世界各地に広がり、ロシア軍は核ミサイルを飛ばし、アメリカ軍は飛行機で戦艦に特攻する。とんでもない状況になる。
当時ダンバインは、ガンダムブームの後に制作され、「ポスト・ガンダム」として注目されていた。
「ダンバイン」は、ストーリーがよく、設定もすごい。しかしそれでも、作品としては失敗に終わった。その原因を紹介しよう。
聖戦士ダンバインが失敗した理由
ダンバインの公式紹介動画 おすすめ!
メカデザイン
ダンバインのメカニックデザインは、マクロスなどを担当した宮武一貴氏。
今までのロボットとは違う、昆虫がコンセプトで曲線を多用したデザインは、
プラモデル化が難しく、子供には怖がられ、商業的にも不振に終わった。
ソース: https://ja.wikipedia.org/wiki/聖戦士ダンバイン Wikipediaより
付け加えると形だけではなく、色も問題で、主人公機のダンバインは水色。ビルバインはアニメ終盤には何を血迷ったか、夜間迷彩(黒い迷彩)色になる(上の画像)。
味方の軍の機体が、緑色だったり、敵味方が分かりづらいのだ。
その点、ガンダムのデザインはよく考えられており、連邦軍のロボットは白色で統一されて、
ジオン軍は緑色、ネオ・ジオン軍は赤色など、視聴者が分かりやすいように、テーマカラーが統一されている。
ダンバインは、これだと子供受けはしない。脚本好きな、私みたいなアニメオタクなら「ダンバイン」の設定がよく出来てるとか分かるが、一般人はそんなところ見てない。
キャラクターデザイン
キャラデザもよろしくない。
エレ・ハンム(上の画像)は、ミの国の王女で、二度も国を滅ぼされ、目の前で母親を殺されて、覚醒し、ラウの国の女王になる。最後には戦艦で特攻して全裸で空中浮遊し死亡する。
物語の超重要人物で、シーラ・ラパーナより登場回数が多い。
なのにこの髪型である。
監督の富野由悠季氏は、当初シーラ・ラパーナを老人として登場させようとしていた(Wikipediaより)。
シーラ・ラパーナがやたら老人口調で、ジジくさいのはその名残だろう。
エレ・ハンムの髪型が違ったら、マーベルやキーン・キッスがもう少し可愛かったら、作品の人気は違ったはずだ。
編集後記
https://youtu.be/4Ma1mk94OVY?t=595
リムルはあんまりだろうw何回も逃げ出そうとしては捕まり、ようやく好きだったニー・ギブンの元にたどり着くと、冷たくあしらわれ、「家に帰れ」とまで言われ、さらにスパイ疑惑までかけられる。
最後には、実の母親に脳天を銃で撃たれて殺される。
何の救いもなかった。
富野由悠季氏お得意の作品終盤に登場キャラ全員殺すシナリオの犠牲者だった。
一つ救いがあるとしたら、ダンバインの最終回のラストシーンは美しかった。
いつもショウと一緒だったチャム・ファウがたった1人、現実世界に取り残される。残酷だが余韻が残るいいエンディングだった。
(c)サンライズ