2021年4/3。映画『シン・エヴァンゲリオン』のED曲を歌った宇多田ヒカル氏が、制作秘話を語った。
【シンエヴァ】『One Last Kiss』はアスカの気持ちを歌った曲だった
宇多田ヒカル:
今までの『エヴァ新劇場版』の曲は、大まかなプロット(あらすじ)だけ聞いて作ってたけど、
今回の『シンエヴァ』は台本を読んで最後のシーンを思い浮かべながら、曲の第一音からプログラミングと作曲した。
今まではネタバレが嫌で、台本読みたくなかった。
プロットと台本の違い
-プロット:企画(構想)段階の脚本(ストーリー)のあらすじ
-台本:プロットを元に、映像化するためにキャラクターのセリフや行動、シーンの状況など(ト書き)をくわしく書いたやつ。声優やスタッフが読む
解説
宇多田ヒカル氏によると、今までは【プロット】だけ見て『エヴァ新劇場版』の曲を作っていたが、
『シンエヴァ』はより踏み込んで【台本】を見て最後のシーンを思い浮かべながら曲を作ったとの事。
つまり宇多田ヒカル作詞のED曲『One Last Kiss』は、『シンエヴァ』の台本を見た感想となっている。
台本には、劇中(映画内)では示されていない、具体的なキャラクターの心情や設定などが書き込まれている(ト書き)。
※ト書きとは、台本のキャラクターのセリフ以外の文章。つまり、キャラクターの行動やシーンの状況説明など。脚本用語。
例えば、映画パンフレットによると『式波タイプのオリジナル』は、台本では【元アスカ】【大人で悪役のアスカ】【そばに来てほしくない存在】と書かれている。これは映画内では説明されていない情報。つまりスタッフや声優しか知らない情報がある(キャラのくわしい設定など)。
宇多田ヒカルが台本を見て作った曲『One Last Kiss』
※歌詞を書くとJASRACがうるさいので、一部表現を変えています。
-はじめてのルーブル:アバン(パリ市街戦)のこと
-私だけのモナリザ:恋人のこと
-もうとっくに出会ってた
-止められない喪失の予感:恋人を失う予感
-「写真は苦手なんだ」:アスカがケンケンに言ったセリフ
-あなたが焼きついたまま:アスカがシンジの事を焼きついたまま
-誰かを求める事は傷つく事だった:ケンケンのこと
-燃えるようなキスをしよう。忘れられないほど:アスカが誰かとキスをしたいという意味
-この世の終わりでも、年をとっても忘れられない人:アスカのシンジに対する気持ち?
-I love you more than you'll ever know:あなたが知っている以上に、私はあなたを愛しています。
-can you give me one last kiss:最後のキスをしませんか?
-吹いていった風を追いかけた:エンディングシーンのこと
やべえ歌詞の意味分かったら泣けてきた😭
もう1回映画観たら、エンディングで泣く自信ある😤
【追記】アバン(パリ市街戦)なら、マリ目線の歌詞じゃないの?
『One Last Kiss』の歌詞を見ると、「はじめてあなたを見た。あなたが焼きついたまま」など誰かの気持ちを歌詞にしている。
宇多田ヒカル氏本人も、『シンエヴァ』の台本を読んで最後のシーンを思い浮かべながら作曲した(作詞も宇多田ヒカル氏)と言ってるので、
『シンエヴァ』の誰かをテーマにして唄っている。
『One Last Kiss』のAメロ(歌いだしの部分)に「はじめてのルーブル」とあるので、アバン(パリ市街戦)にアスカはいなかった、マリ目線の曲にみえるが、
それだと「あなたを喪失する予感。写真は苦手なんだ」が、マリ目線では説明がつかない。
アスカ目線の曲だと考えた方がしっくりくる。
『エヴァQ』では台本を読まずに曲を作った
脚本を読んで曲を作った方が、歌詞や曲に思いが込められる。
特にアニソンは、映像で情景(シーン)を思い浮かべながら、目と耳と記憶で楽しめる。
(c)カラー