2021年3/21。スマホアプリの『EVA-EXTRA』で、新劇場版『エヴァ・破』の映画パンフレットのインタビュー記事が読める。
それによると、「シンジとマリがラブラブになる」のは『破』の企画段階のアイデアで、マリの制作秘話、アスカの名前が"式波"になった理由などが分かった。
【シンエヴァ】「シンジとマリがラブラブ」は『破』の段階で決まっていたwww
(スマホアプリ『EVA-EXTRA』の庵野総監督インタビューより)
「シンジとマリがラブラブになる」アイデアは『破』の段階であった
庵野総監督:
新劇場版『エヴァ・序』の観客の反応が良かったので、『破』は脚本から全部作り直した。
マリはプロット段階では、『Q』からの登場だった。『破』では顔見世程度。
『破』は、アスカが初登場しアスカの出番が多くなるので、キャラがかぶる新キャラは出しにくかった。
しかし『序』の客の反応が良かったので、マリの出番を増やした(意味不明)。
『破』から新たに参加した榎戸洋司氏(脚本担当)と、鶴巻和哉監督、摩砂雪監督、庵野総監督で、熱海で2泊3日の男だけの脚本会議合宿をした。
その時に摩砂雪が「Aパートは、墓参りから初めたい」
榎戸洋司が「シンジとマリがラブラブになる」などの、斬新なアイデアやプロットの大幅な修正案がでた。
アスカを3号機パイロットに変更して、作品全体の方向性が変わった
アスカを3号機パイロットに変更するのは、鶴巻監督のアイデア。総監督助手・絵コンテの轟木一騎氏は猛反対していた。
この変更のつじつまを合わせるために、アスカの性格が【良いキャラ】に変更された。キャラもシチュエーションも練り込まれないまま、トウジをアスカに変更しただけの、行きあたりばったり状態だった。
アスカが3号機に乗る事を、鶴巻は【死亡フラグ】と呼んでいた。結果、3号機にアスカが乗るところを、アスカのドラマのピーク(山場)に変更した。
マリは、鶴巻監督に任せた
【新劇場版】を作る時に、「女性のEVAパイロットの新キャラクターを1人増やす」事を決めていた。
【TV版エヴァ】は自分で作ったので、自分で脚本をこわして、マリの出演シーンを入れるのは難しかった。なので、第三者にこわしてもらおうと思った。
マリは、自分でデザインせずに「イギリスのお嬢様学校に通うお姉さん的で、動物好きかも」というアバウトなイメージだけを伝えて、
キャラデザの貞本義行氏と、鶴巻監督に任せた。
マリの外見は、貞本義行氏が描いた。
性格は難航した。アスカとレイというエキセントリックなキャラクターがいて、ヒカリという委員長キャラがすでに存在した。
「作画が大変なのでアニメーターからは嫌われるメガネっ子キャラを出す」のは決まった。
もともとは、マリはアスカといっしょに2号機に乗っていた。ユーロネルフ所属のアスカの先輩キャラだった。
マリが空から降下してくるのは、鶴巻監督がやりたかった事。
マリは、鶴巻のこだわりの賜物。マリは、かなりの部分をマッキー(鶴巻監督)に任せている。
声優を坂本真綾氏に推薦したのは、貞本義行氏。
マリが『三百六十五歩のマーチ』を唄うのは、庵野総監督のアイデア。僕が子供の頃に聞いていた昭和歌謡。
マリが「どっこいしょ」など言うのは、昭和のオヤジっぽさを出したくて入れてる。
マリの名前は、『イラストリアス』は英国空母の名前。真希波は海上自衛隊の『あやなみ型護衛艦』から。式波もそうです。
映画本編で語るかは分からないが、【新劇場版】ではTV版から、エヴァパイロットの設定を変えている。
アスカも惣流から式波に変更した。
マリという名前は、嫁さん(安野モヨコ)の漫画に登場したキャラ『マリコ』から。最終的には『勇者ライディーン』の桜野マリから、マリに決めた。
アスカのキャラ設定を変えたので、名前を『式波』に変えた
アスカはキャラ設定を変えたので、名前を『式波』に変えた。
アスカと加持リョウジとの関係をバッサリ切ってなくした。映画だと、加持とアスカの話まで描く余裕がなかった。
新劇場版の加持は、マリの上司として登場させた。
ドラマとして、アスカの孤立度を高くしたかった。
TV版のアスカは「あこがれの男性がそばにいて、表層的には人づきあいが上手な女の子」として描かれていた。
しかし映画版は尺が短いので、新劇場版のアスカは、シンプルに周囲から孤立させて、ミサトくらいしか知り合いがいない、友人が誰もいない状態にした。だから加持リョウジとも引き離した。
アスカの声の収録を聞いて思ったのは、ホント宮村は相変わらず芝居にムラがあって面白いです。
坂本真綾に声の収録時に、「マリってどういうキャラですか?」と聞かれて、庵野総監督が即興でマリのキャラクター像を長々と説明した。後で、鶴巻監督から「そんなキャラではない」と責められた。僕自身その時に「あ、マリってこういうキャラなのか」と気づいた。
マリの演技に関しては、鶴巻監督に任せた。坂本真綾と鶴巻監督は『トップをねらえ2』からのつき合いなので安心するかなと。
DVD(ブルーレイ)版で1013カット差し替えた
https://youtu.be/qcHMg4uzlGI
『エヴァ・破』のDVD/ブルーレイ版(2.22)は、映画版から1013カット差し替えた。
アニメ業界では「バカじゃないのか」と言われてる。
DVD版用に、TVアニメ1クール分の予算を使って、撮影の再調整や新作シーン、アフレコの録り直しなどを追加した。
安野モヨコ氏の影響
妻の安野モヨコ氏に、シナリオやマリをどうしたらいいかなどの相談をしている。
『新劇場版』は、嫁さんの安野モヨコ氏の影響が大きい。
特にアスカとマリには、大きく反映されている。
感想
庵野総監督のインタビュー長いな😲小説の短編4本くらいのボリュームあるぞw
インタビュー記事を読んでて思ったのは、庵野監督は、特撮が好きで、アニメと特撮の融合を求めており、
かなりの完璧主義者で、脚本はギリギリまで練り直して、絵コンテも最後まで描き直して、ラッシュ(編集してない状態のフィルム)段階でもまだ試行錯誤して、声の収録では10~20テイク録って1つだけ採用する、音響にもこだわる、宣伝(プロデュース)すら自社(カラー)で行うなど、
映画全体に渡って細部までこだわって作っている事が分かる。
しかしその結果、話をひねりすぎて、「前と同じではいけない」とハードルを自ら上げてしまい、マリエンド・ケンケンという本来ファンが望まないものを生み出してしまった。
【おまけ】EVA-EXTRAの使い方
スマホアプリ『EVA-EXTRA』はUIがゴチャゴチャしてて使いにくいので、どこにインタビュー記事があるか紹介する。
まずアプリを起動して、画面一番下の時計マーク(履歴ボタン)を押す→「全記録全集」→破→庵野秀明 で読める。
(c)カラー